人生100年時代を生きる私たちの人生設計とお金

「人生100年時代」

首相官邸のHPにも大きく掲げられたこの言葉は、もともとは英国の2人の学者が記した「ライフ・シフト」という本の中に登場した言葉です。

世界的な長寿化が進み、人生を100年と見たこれまでとは異なる新しい人生設計の必要性を唱えています。

そんな人生設計に欠かせない資産は、はたして「お金」だけなのでしょうか?

今回はファイナンシャルプランナーの四方裕伸さんに、人生100年時代の人生設計とお金について、専門家の視点でリアル意見をお伺いしました。

 

この記事の執筆
四方裕伸 氏
家計や企業の悩みを、とりまく環境から分析。
本人では気が付かないことを算出し、アドバイスを行う。
ゆうりFP株式会社代表取締役
千葉県損害保険代理業協会理事 
日本FP協会千葉支部SG幕張代表

人生100年時代の人生設計とお金

2017年の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性は87.26歳で過去最高を更新しました。70年前の日本人の平均寿命は男性50.06歳、女性は53.96歳でした。

日本人の平均寿命 男性 女性
2017年 81.09歳 87.26歳
1947年 50.06歳 53.96歳

つまり、現在の70歳の人が、生まれたころの人生設計の感覚で生きていたら、寿命の30年前に生活費を使いつくしてしまいます。

そこで、国は「弱者救済」の精神で、過去の先祖が作った貯金を使い、さらに若い世代から税金を多めに取って、そのうれしい誤算にお金を投入しているのです。

これを見ている現在の若者には1つの道が用意されています。それは、「あなたたちは(寿命が長いことは分かっているのだから)、100歳まで生きるつもりで、自力で資産を蓄えておきなさい。」ということです。

お金を蓄えられない仕組み

これとは、まったく別の話で「お金」を蓄えられない仕組みがあるから、人生は難しいのです。

日本人が使ってきたお金を過去70年一気に振り返ってみましょう。

移り変わる娯楽の主流

映画に興奮していた日本人は、ラジオ→テレビ→ゲーム→スマホと娯楽の主流を乗り移ってきました。

主流が変わると、お金を使わなければなりません。

今でも映画しか見ない人は、何も買わなかったのでお金が貯まっていることでしょう。

しかし、そんな人はいないのです。

「ブーム・流行」と「お金を使うこと」、そして「生きることそのもの」は一事が万事、切り離せません。

こう振り返ると、100歳まで生きるつもりで、どうやって自力で資産を蓄えればいいのか分からなくなります。

人生100年のうち働いて稼ぐのは43年

追い打ちをかけますが、お金が貯められない理由はこれだけではありません。

「こんなに働いているのに、自分で遊べるお金が全然ない!仕事と給料の割が合わないよ!!」

この言葉を人生100歳として分析してみましょう。

 

あなたは現在35歳とします。

大学卒業の22歳までほとんど親のお金で生活しました。

65歳の定年まで43年間働くこととなります。

そして、引退若しくはパート収入で残り35年間生活する事となります。

【人生100年としたときのお金の稼ぎ方】

大学卒業までの22年間→親のお金の前借

65歳までの43年間→35歳時の年収を平均として働く

100歳までの35年間→引退(もしくはパートとして働く)

 

つまり、人生100年中57年無職のあなたは、現在自分で実際使っている2.3倍を一人で使っていることになります。

結婚していたら、夫婦合算年収の2.3倍となりさらに使えるお金がないこととなるのです。

人はこの計算を考えずに、「こんなに働いているのに、自分で遊べるお金が全然ない!仕事と給料の割が合わないよ!!」という言葉が心の声として、出てしまいます。

そもそも、人は使いたいお金の2.3倍稼いでも、ちょうど一人分なのです。

なぜ国は100年生きるつもりで試算を蓄えろと言うのか

生きるためには流行にお金を使わなければならない、そして自力で働いてお金を稼ぐ期間は人生の半分以下。

この2つの弊害がある我々に、なぜ国は「あなたたちは(寿命が長いことは分かっているのだから)、100歳まで生きるつもりで、自力で資産を蓄えておきなさい。」と言うのか?

私には答えが大きくは2つあると思います。

1.全国民が納得する保障制度を施工するのは間に合わないと判断した。

2.無茶な話ではない、至難ではあるが多くの人がやってのけるだろうと判断した。

要するに、あきらめたかあきらめなかったかです。

そして私たちにできることは、稼ぐお金を増やすか、使うお金を減らすか、働く時間を延ばすかです。

ここまで解き方が分かれば、それぞれの立場で何をすべきか答えが見えてくると思います。

あとは、そもそも論で恐縮ですが、やるかやらないかだけです。

資産とはお金だけではない

ここまでの話は、お金を貯える方法。

核心の「人生設計」とは別の話となります。

国は「100歳まで生きるつもりで、自力で【お金】を蓄えておきなさい。」とは言っていません。

「自力で【資産】を蓄えておきなさい。」と言っているのです。

資産=お金とは限らない

これは、全く違う意味なのです。

あなたがお金や資産を持っているときは、あなたのお金や資産は使わなければなりません。

しかし、お金はひとり占めして抱きしめても、勝手に逃げていきます。

資産はモノによっては、使っても、使っても、減らないものがあります。

例えば、教養や技術。知識や人徳。統率力や指導力。

これらはお金と同様に生活費を作ってくれますし、使えば使うほどに増えていきます。

 

例えば家を買うとき。ライバルに自慢できるデザイン性に富んだ家を買うよりも、静かに教養や技術を養える家を買うのはどうでしょう。

車を買うとき、見た目やスピードを気にするよりも、家族に安全に使ってもらえる車に決めるのもいいかもしれません。

つまり、同じものを買うのでも減らない資産にお金を変えることが問われる時代となるのです。

執筆者からのコメント
四方裕伸

福沢諭吉の「学問のススメ」に立ち返るわけではありませんが、雑誌や新聞やネットの知識で、中途半端な教養を取る時間やお金は減らし、自分の足で調べ、自分で見聞きし、ペンダコをつくり、人に伝えられる教養を取る時間とお金を増やしたいものです。

そうやって人生設計しているうちに、人口バランスも変化し、計算外の事が起こります。

良くも悪くも国にあまり頼らなくてよい個の力のある若い世代が確立すれば、その下の世代に尊敬される人たちであふれるかもしれません。