住宅ローン返済額が家賃と同じなら家を買っても大丈夫?

「家賃を払い続けても自分の家にならないし、家賃並みの住宅ローンの返済額で家を買った方が資産にもなるからいいのでは?」

そのように考える人もいるかもしれません。

しかし、この考え方で家を買ってしまっては、将来設計に支障が出てしまう可能性が高くなります。

家を購入するのであれば、家賃の金額と住宅ローンを単純に比較するのではなく、将来的なライフプランを見据えて、居住費の違いを把握しておく必要があるからです。

この点について、住宅ローンの相談を数多く請け負ってきた、ファイナンシャルプランナーの高橋浩史さんに解説していただきました。

この記事の執筆
高橋浩史 氏
FPとして活躍する以前に、自力で保険の見直しと住宅ローンの借り換えを行い、見事に家計改善を成功させた経験を持つ。
ファイナンシャルプランナーの資格も、会社勤務の傍ら独学で取得。
2011年の独立後は「難しい内容を、日常の言葉で語れるファイナンシャルプランナー」として評判を集めている。

賃貸と持ち家の住居費の違いは?

喜ぶ若手社員お気に入りの物件が見つかり、住宅ローンの返済プランを見たらいまの家賃と変わらない。

「これならローンを返済していける!」と考え、マイホームの購入に踏み切る人は少なくないようです。

しかし、家賃10万円の家に住んでいた人が、住宅ローンの返済額を10万円程度におさえて家を買った場合、これまでと同様の家計で暮らせるかというとそうとは限りません。

持ち家の居住費は住宅ローンだけではない

まず、家賃や住宅ローンなど、家に住むために必要な支出を「住居費」というくくりで考えてみましょう。

賃貸、持ち家でそれぞれ必要になる住居費には、次のようなものがあります(ここでは、光熱費は除きます)。

賃貸住宅 毎月の家賃
更新時の費用(家賃の1か月分など)
持ち家 毎月の住宅ローン返済額
管理費・修繕費など
(マンションは必須、戸建も建物の修繕費は自分自身で用意する必要あり)
固定資産税
住宅設備(エアコン、給湯器、キッチンなど)の修理・交換
リフォーム費用

このように、自分の家を持つと賃貸住宅にはない、管理費・修繕費やリフォーム費用など、さまざまな維持・メンテナンス費用が発生することが分かります。

つまり、購入後に必要なコストを考えてローン返済額は家賃よりも下げておかないと、家計を圧迫する可能性があるのです。

家賃並みの返済額だから大丈夫と、住宅ローンを借りてしまうと、後述するような将来のライフイベント(子供の教育やレジャーなど)に、影響を与えることも考えられます。

無理のない返済額を知る方法は?

指をさしてポイントを教える先生では、住宅ローンを借りるとき、無理のない返済額を考えるにはどうしたらよいのか、一例を見てみましょう。

ポイントは、前述したような住居費に関するコストを月額にしてみて、いま支払っている家賃から差し引くことです。

ただし、家を買うために毎月貯蓄している人は、その額を家賃に上乗せして計算して下さい。

 

住宅購入前後の状況から見る無理のない返済額の一例(概算)
購入前 家賃10万円、マンションを買うために毎月3万円の貯蓄
購入後 固定資産税の年額12万円(月額1万円)、マンションの管理費・修繕費2万円(月額)、住宅設備(給湯器・浴室など)のメンテナンス費用として月額1万円を見込む
無理のない返済額 10万円(家賃)+ 3万円(貯蓄)− 1万円(税金)− 2万円(管理・修繕)− 1万円(メンテ)=9万円

ただし、この考え方はあくまでも現時点での算出方法です。

例えば、いまは夫婦2人でも、子どもが生まれれば育児のために一時的に収入が減ることもあるでしょうし、子どもが社会人になるまでの教育費は必要です。

また、家族が増えれば、車の買い替えや家族旅行の費用も想定しておく必要があります。

将来的にどのようなライフプランを描いているのかによっても、無理のない返済額は変わってくるでしょう。

家賃と住宅ローンは単純に比較できない

単純に家賃と住宅ローンの返済額を比較するだけでは、正しい選択はできません。

家に住むための費用は、家賃・住宅ローンだけではないからです。

賃貸と持ち家を検討するときは、将来のライフプランと照らし合わせて考える必要があります。

執筆者からのコメント
高橋浩史

住宅ローンの低金利が続いていることもあり、不動産会社で相談すると「こんな返済額で済むの!?」というような返済例が提示されることもあります。

しかし、こういった返済例には、あなたや家族のライフプランは反映されていません。

もし住宅ローン購入するなら、いまだけではなく、将来の生活とそれに必要なお金を予想した上で、借入額を考えるようにしましょう。