確定拠出年金の企業型と個人型の違いとは?併用メリットはある?

更新日:2018/04/16
このエントリーをはてなブックマークに追加

確定拠出年金には企業型と個人型(iDeCo:イデコ)があり、それぞれ金融機関の選択やコスト負担などの観点で中心となるのが企業なのか個人なのかという違いがあります。
※参照:よく聞く個人年金「iDeCo(イデコ)」って何?

現行(2018年3月22日現在)の制度では、規約で認められている場合には個人型と企業型を併用することも認められていますが、ただそれがお得かどうかについてはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、企業型と個人型のどちらの確定拠出年金にするのか検討中の方を対象に、両制度の税制メリットやコストなどを中心に具体的にご説明します。

確定拠出年金の「企業型」と「個人型」の違い

まず、大前提となる両制度の違いをご説明します。

違い【1】対象者

企業型の場合、確定拠出年金制度を採用している企業にお勤めの方に限られます。

一方で個人型は、平成29年1月以降は基本的に公的年金に加入しているすべての方が加入可能になりました。
※参照:iDeCo(イデコ)の利用はサラリーマンだけ?主婦は?

企業型確定拠出年金に加入している場合には、規約で個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)への加入を認めている場合に限ります。

違い【2】掛金の拠出者

企業型の場合、企業が拠出します。

ただし、個人が追加で拠出するという「マッチング拠出」が規約で認められていることもあります。

個人型の場合には、加入者本人がすべての掛金を拠出します。

違い【3】運営主体や金融機関の選択

企業型の場合、企業が運営し、運営管理機関(金融機関)の選定や資産管理機関の選定も企業が行います。

個人型の場合には、運営機関は国民年金基金連合会であり、運営管理機関(金融機関)は個人で選定し、資産管理機関は国民年金基金連合会(事務委託先金融機関)となります。

つまり、企業型の場合、企業が選定した金融機関が提供する金融商品からの選択となり、個人型の場合は加入者本人が自分で選んで金融機関の提供商品からの選択となります。

違い【4】税制面・社会保険料への影響

笑顔の先生

個人型の場合、掛け金の全額が所得控除され、拠出金額分について所得税・住民税が安くなります。
※一方で社会保険料に関しては、控除されません。

会社員の方の場合で、個人口座から拠出していた場合には年末調整で還付されます。

一方で企業型において、自分でも掛金を拠出する「マッチング拠出」をした場合には、給料から天引きされ、その分の拠出金額は「最初から所得でなかったこと」になります。

つまり、拠出額について所得税・住民税が非課税になるのはもちろん、社会保険料もその分だけ安くなるということを意味します。

ただし、社会保険料が安くなることは必ずしもメリットであるわけではなく、傷病手当金や失業保険、出産手当金の金額は減少します。

違い【5】コスト負担

確定拠出年金に加入すると、各金融商品の手数料(無料のこともありますが)のほか、口座管理手数料がかかります。

口座管理手数料は、年額2,004円(税込み)+(各金融機関の定めた金額)です。
※支払は月々で行います。
※個人型の場合です。
※新規口座開設の場合や、移換をする場合などには別途手数料がかかります。

企業型の場合には、口座管理手数料は企業が負担します。

一方で個人型の場合には、個人が口座管理手数料を負担します。

違い【6】拠出限度額

これについては後述します。

このように、違いも様々な両制度ですが一方で「どちらの制度であっても運用(金融商品の選択)は自分の責任で行うという共通点もあります。

企業型と個人型の併用は可能?そのメリットとは

企業型と個人型の確定拠出年金ですが、併用できる場合と併用できない場合があります。

併用できる場合とは、企業が個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入を規約で認めている場合です。

併用を認めていない企業の場合には、企業型を活用(マッチング拠出)するしかありません。

両制度を併用するメリットは、まず掛金の上限が上がることです。

実質的な拠出限度額は(マッチング拠出の限度額)+(個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額)になります。

拠出金額に余裕のある方にとっては、両制度を活用することでさらに年金額を増やし、かつより多くの節税メリットを享受することができます。

笑顔の派遣社員のイメージ

また、個人型の場合には自分で金融機関を選択できるというメリットもあります。

ほとんどの金融機関では、日経平均連動型などの「インデックス型」の投資信託は一通りそろっていますが、アクティブ型のリスクが高めの金融商品は取り扱っていないところもあります(運用商品数の違い)。

個人型であれば、自分のリスク選好に応じて好きな金融機関を決定できるため、より自分にあった資産運用が可能になるというメリットもあります。

企業型と個人型ではどっちが得になる?

では、次に併用するのではなく「どちらかを選ぶ」という場合は、どちらがお得になるのかということについてご説明します。

個人型の大きなメリットは金融機関を自分で選択できるということですが、逆に言うとそれ以外の点は企業型に劣ります。
※一見すると年末調整で「還付」され「お得に見える」という点については後述します。

企業型の場合には、金融機関は企業で選択する(投資商品はその金融機関が提供するものの中から自分で選ぶ)のですが、マッチング拠出をして給料から天引きした場合には所得税・住民税に加えて社会保険料も安くなるということがあります。

給料から天引きされるので「払いすぎた分を還付」という形にはなりませんが、実質的には支払う税金・社会保険料は安くなるということです。
※ただし社会保険料が安くなることは必ずしもメリットだけではないと前述しました。

さらに、口座管理手数料は企業が負担してくれるため、運用するうえでかかるコストは自分で選択して購入する各種金融商品固有の販売手数料のみということになります。

つまり総合すると、両者を併用するのではなくどちらかを選択する場合には、まず企業型の確定拠出年金に注力し、それでも余裕のある場合に個人型との併用を考えればよい、ということになります。

事前に把握しておきたい掛金の上限額

企業型、個人型のそれぞれには拠出限度額が設定されています。

それぞれの拠出限度額(月額)についてご説明します。

企業型

企業年金制度もある場合:2万7,500円→年額33万円
企業年金制度はない企業の従業員の場合:5万5,000円→年額66万円

※企業年金=厚生年金基金や確定給付企業年金など

個人型

確定給付企業年金がある場合&公務員:1万2,000円→年額14万4,000円
企業型確定拠出年金がある場合:2万円→年額24万円
企業型確定拠出年金がない企業の従業員の場合:2万3,000円→年額27万6,000円
自営業者等(専業主婦含む):6万8,000円→年額81万6,000円

企業型から個人型への移行手続きの方法

悩む万年係長のイメージ

個人型と企業型の確定拠出年金を比較した場合、個人型のほうに(一般的には)軍配が上がるということは、上記の通りです。

しかしながら、途中で転退職などがあってその後個人型確定拠出年金(iDeCo)で資産運用を継続したいという場合もあるでしょう。

ここでは、その具体的な手続きをご紹介します。
※「移行手続き」のことを正確には「移換手続き」といいます。

手続きの流れ

移換先の決定
必要書類の請求・移換手続き
移換完了

手続きの詳細

この移換手続きは、移換を希望する運営管理機関(金融機関)で行います。

この際、受付において提出する書類は「個人別管理資産移換依頼書」や「個人型年金加入申出書」などになります。
※移換する場合には「移換手数料」がかかります。
※詳しくは各金融機関の担当者にお問い合わせください。

これらの書類を提出し、1か月から2か月程度が経過すると資産の移換が完了します。

退職などが理由で企業型確定拠出年金の資格を喪失した場合には、資格喪失日から6か月後に「自動移換手続き」がなされます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

確定拠出年金については、最近制度が新しくなったということもありわからない点も多いかもしれません。

しかしながら、それぞれの制度についてしっかり理解しておけば何を選択すればどのようなメリットやデメリット、注意点があるのかについてわかり、自身の老後資金に関する見通しが明るくなります。

この記事を足掛かりにして、確定拠出年金に関して具体的に情報収集をされてみることをお勧めします。

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事