貸金業法における総量規制とは

更新日:2018/01/09
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急にお金が必要になった時などに便利なのがカードローンでのキャッシング。
一昔前の怖いイメージの強かったキャッシングも私たちの生活に随分と身近な存在になってきました。
その理由として2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行されたことがあります。
貸金業法に「総量規制」という大きな規制が設けられたのです。

そもそも貸金業法とは何か

消費者金融などお金を融資する貸金業を営む事業者に対して定められた法律が「貸金業法」です。


そもそも貸金業法の法律が施行された目的は、消費者が貸金業者から借入をする際に自身の収入に見合ったムリなく安心して利用できるようにと定められたものです。
この貸金業法が適用される貸金業者とは、SMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)アコムなどの消費者金融と信販会社(クレジット会社)のことを指します。

実は貸金業法は従来あった法律が数回に分けて改正されており、2010年までの間に5段階に分けて施行されてきました。
2010年の貸金業法の完全改正によって変わったキャッシング事情、お金を借りる前に知っておきたいことについて説明していきます。

貸金業法が施行され何が変わった?

この貸金業法が改正されたポイントが3つあります。

総量規制
上限金利の引き下げ
貸金業者に対する規制の強化

では、利用者にとってどのような点が変わったのでしょうか。

総量規制について

総量規制の解説

総量規制とは、総借入額の上限が契約者の年収等の3分の1までに制限される仕組みのことです。
つまり、お金を貸す側も借りる側もお金の貸し借りに制限が設けられたことになり、借り過ぎ・貸し過ぎが抑制されることになったのです。

貸付の種類には

・個人向け貸付け
・個人向け保証
・法人向け貸付け
・法人向け保証

の4種類がありますが、「総量規制」の対象になるのは「個人向け貸付け」であり、それ以外については総量規制対象外となります。
原則、総量規制対象となるのが、個人がお金を借入する場合のことであり、個人事業主や自営者が事業用資金として借入をする場合は総量規制の対象外となります。

上限金利の引き下げ

お金の貸し借りの中では金利が発生することになりますが、そこには「利息制限法」と「出資法」という2つの法律が関わってきます。
貸金業法改正前までは、利息制限法では年率20.0%、出資法では年率29.2%が上限金利として設定されており、この差分がグレーゾーン金利として存在していたのです。

本来、貸金業者は利息制限法に基づいた貸付を行う必要がありますが、出資法の上限金利に合わせてグレーゾーン金利(20.0%~29.2%)の範囲で貸付が行われていました。
2010年6月の貸金業法改正で出資法の上限金利も利息制限法と同じ年率20.0%まで引き下げられることになり、グレーゾーン金利が違法と判断されてからは債務者から貸金業者への「過払い請求」も相次ぐこととなりました。

貸金業法が施行された現在は「利息制限法」と「出資法」の上限金利が同じ年率20.0%に設定され、昨今の貸金業者は利息制限法に基づいて貸付を行っています。

利息制限法の上限金利
借入額 上限金利
10万円未満 年20%まで
10~100万円未満 年18%
100万円以上 年15%
貸金業者に対する規制の強化

貸金業法の改正によって貸金業者に対する規制の強化も行われることになりました。
法外な金利設定を行うヤミ金など、違法業者を厳しく取り締るための規制強化と健全な貸金業の促進が目的にあります。
貸金業者は国家資格(貸金業務取扱主任者)を営業所ごとに置き、法令遵守の為の助言・指導を行うことが義務化されました。

また、貸金業者の取り立て行為の規制についても強化され、大声をあげたり、乱暴な言葉を使うことや暴力的な態度をとること、自宅や職場に多人数で押しかけることも全て法律で禁止されています。
この貸金業法が改正されたことにより、高い金利、多重債務などから消費者を守り、私たち消費者が安心してお金を借りることができるようになったのです。

指定信用情報機関制度が導入

貸金業者が私たちから新たに借入の申込を受けた場合は、指定信用情報機関が保有している個人信用情報を使用して他社の貸金業者からの借入状況・返済履歴・借入残高などを調査します。
他社での取引事実が確認できるため、新たに借入申込をする際に虚偽記載をしても嘘がカンタンに貸金業者にも分かってしまします。

個人信用情報機関は信用情報を保管している

また3社ある信用情報機関内では、利用者の情報を共有しているネットワークもあります。
金融機関によって加盟している信用情報機関は異なりますが、この情報共有ネットワークによって審査に必要な情報を共有しているのです。

信用情報機関3社

  • ・株式会社シー・アイ・シー(CIC
  • 全国銀行個人信用情報センター(全銀協
  • 株式会社日本信用情報機構(JICC

この3つの信用情報機関が情報を共有するネットワークのことをCRIN(Credit Information Network)といいます。

CRINのイメージ
このCRINの目的は契約者の支払能力に関する調査のため行われているものです。
もちろん、個人信用情報の利用にはご本人からの同意を得た上で利用しています。

CRIN同士が共有することとは・・・

①本人の情報
氏名・生年月日・性別・郵便番号・住所・電話番号・勤務先・勤務先電話番号
②契約内容
契約日・契約の種類・契約額など
③支払状況
異動発生日・情報の種類(異動)・終了状況(完了・貸倒)など
④申告した内容
申告した情報やコメントなど

そして、CRINの他にもう1つFINE(Financial Information Network)という共有ネットワークがあります。

CRINは3つの信用情報機関で情報共有されていますが、FINEの場合は、

・CIC(シー・アイ・シー)
・株式会社日本信用情報機構(JICC)

の2つの機関が情報共有しています。
このFINEが共有している内容としては以下の通りです。

・個人信用情報
・申込情報
・貸金業者が照会した事実情報

CRINやFINEの利用目的は、行き過ぎた貸付けの防止や多重債務者の発生を防止するため、金融機関が指定信用情報機関を利用し、顧客の総借入残高を把握することを目的としています。

所得証明できる書類の提出が必要

さらに、借入の場合は基本的に「年収を証明する書類の提出」が必要となります。

▼収入証明書が必要な場合
・1社からの借入金額が50万円を超える場合
・複数の貸金業者からの借入合計が100万円を超える場合

▼証明書類は?何が必要?

・源泉徴収票
・給与明細書
・確定申告書
・納税通知書
・所得証明書

収入証明書類

給与明細については、直近○ヶ月分必要になるところがほとんどで、賞与がある場合は1年間の賞与明細書も合わせて提出を要求される金融機関もあります。
この総量規制が施行されたことにより、お金を貸す側、借りる側ともに厳しく規制されていることがわかります。

また、貸金業者1社からの借入額が50万円以下の場合は、法律上では収入証明書類を提出する必要はありませんが、審査状況に応じて収入証明書の提出を求められるケースもあります。

中には総量規制の除外と例外もある

総量規制対象外とは、総量規制の「除外貸付」または「例外貸付」となることです。

除外貸付け

除外の貸付けとは、総量規制の対象とならない貸付けであり、主に下記のようなローンに適用されます。

・住宅ローン
・自動車ローン
・高額医療費
・不動産担保貸付け
・有価証券担保貸付け
・売却予定不動産の売却代金により返済できる貸付け
・手形(融通手形を除く)の割引
・金融商品取引業者が行う500万円超の貸付け
・貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
例外貸付け

総量規制の例外となる貸付けとは、本来ならば総量規制の対象となる貸金業者からの借入ですが、一定の条件を満たす場合のみ、総量規制の対象外となるケースのことです。

・顧客に一方的有利となる借換え
・緊急の医療の貸付け
・配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け
・個人事業者に対する貸付け
・社会通念上緊急に必要と認められる費用を支払うための資金の貸付け
・預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでの「つなぎ資金」に係る貸付け

「顧客に一方的有利となる借換え」に関して言えば、借換えまたはおまとめローンとして取り扱っている金融機関も多くあります。

■ローン借換え
利息の負担を軽減させる為に金利の低いところへローンを組みなおすことです。
例えば、現在組んでいる住宅ローンの金利よりも低くなる金融機関を見つけた場合、利息の負担を軽減させる為に金利の低い金融機関にローンを組みなおすのが「ローン借換え」です。
■おまとめローン
おまとめローンとは、複数の利用しているローンを1社にまとめて組みなおすことです。
ローンを1本化することで、返済管理がやりやすくなるだけでなく、利用額が増えることから適用金利の引き下げ、月々の返済額の負担を軽減することができます。

借換え、又はおまとめローンに関しては、顧客に一方的有利となる借換えにあてはまることになり、「総量規制」の対象外となります。

銀行カードローンなら総量規制対象外

総量規制について説明してきましたが、現在、消費者金融から年収の3分の1ギリギリで借入している場合は、今後は新規で借入申込は出来なくなってしまうのか気になるところです。

 

実は同じカードローンでも、消費者金融の場合は貸金業法により総量規制の対象となっていますが、銀行が提供しているカードローンは銀行法に基づいて営業しています。
そのため銀行カードローンからの借入に関しては総量規制対象外となり、年収1/3を超える新たに借入の申込も可能となります。

クレジットカードや信販会社も総量規制の対象

・クレジットカードのキャッシング
・信販会社のキャッシング

貸金業法の中に貸金業者からの借入の総量規制が法律で定められていますが、実はクレジットカードのキャッシングも総量規制の対象になります。

クレジットカードイメージ
現在のクレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠が付いているカードがほとんどです。

ショッピング枠に関しては、割賦販売法が適用されることになるので貸金業法が適用されることはありません。

しかし、クレジットカードに付随するキャッシング枠を利用する場合は総量規制の対象になるので注意が必要です。
同じように貸金業者の位置付けとなる信販会社が提供するカードローンを活用してのキャッシングも総量規制対象となります。

貸金業法の改正による影響

貸金業法が改正されたことで一番大きな影響を受けることになったのはキャッシング利用者だと考えられます。
その中でも最も影響を受けたのは、消費者金融での借入が出来なくなった無収入の専業主婦です。

もともと、貸金業法が改正されたのも、返済能力を超えた貸付の防止をするためでもあるので、無収入の専業主婦に影響が出るのも当然のことです。
良くも悪くも貸金業法が改正された今、お金を借りるには、どの貸金業者を利用するにしても「本人に安定した収入があること」が前提となっており、消費者金融では本人所得がない方は利用できなくなりました。

しかし、貸金業法が適用されるのは消費者金融などの貸金業者であって、総量規制対象外の銀行カードローンからであれば本人所得がない方も借入できる可能性もあります。
基本的には旦那さんなど配偶者に安定した収入があることが条件となり、利用限度額も少額に設定されることが多く、30万円前後となるのが一般的なようです。
※銀行カードローンについて詳しくはコチラ

まとめ

お金を借りる・・・ということにまだ抵抗がある人も少なくありませんが、貸金業法が改正されて、お金を借りることは私たちにとってだいぶ身近に感じられるようになりました。
逆に言うと、貸金業法改正により規制されたことで、私たちが高い金利に臆することなく安心して、貸金業者からお金を借りることが出来るようになった法律といっても過言ではありません。

原則、貸金業者からお金を借りることができるのは「安定した収入がある」ことですが、借りたお金は必ず返さなければならないことも忘れてはいけません。

お金を借りる前に貸金業法やキャッシングについて少しでも理解しておけば、借り過ぎの防止にもなり、よりスムーズにキャッシングを利用できるようになります。
もし、お金を借りることを検討されているのなら、今一度、貸金業法を確認した上で利用しましょう。

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